1919年に起きた五四運動は、中国現代史の幕開けとなった。1921年に中国共産党が成立し、国民党と共産党の第一次国共合作によって軍閥政権が打倒された。現在大陸では、5月4日は青年節として、毎年、記念活動が展開される。
ところで、今年の記念活動の中で、温家宝首相と馬英九国民党主席の両方が「民主、科学、人本」を強調した。しかも国民党は毛沢東など第一代共産主義指導者を含む著名人の直筆書簡を展示した。昨年5月の連戦大陸訪問によって、実質的に第三の国共合作が始まったと見ることができるが、今回の両岸での記念活動はそれを強く印象付けるものであった。
5月4日、温家宝は北京師範大学を訪問して学生たちと話し合った際、「五四運動は民主と科学のスローガンを提起したが」「この目標を追求することは、依然として重要な意義がある」「民主と科学がなければ、社会主義はあり得ないし、現代化もあり得ない」「『人を以って本と為す』を強調しているが、学校では『学生を以って本と為す』だ」と語った。同時に、中国大陸での民主の在り方について述べ、当面の課題として人民権利の保障、人民の政府への批判・監督、平等・公正な全面的成長、民主的法制度など四方面の整備を提起した。
台北では国民党本部で五四運動87周年記念活動が行われ、馬英九が挨拶の演説をし「今日、五四運動を記念するのは、一方で先達の提起した民主と科学の理念に思いを馳せ、他方で理性と人本の精神を強調するためで、引き続きわれわれの努力が待たれる」と語った。
注目すべきは、温家宝が例年とは違って「愛国主義」に触れず、「民主と科学」、とりわけ「民主」を強調したことである。馬英九は大陸が民主化しない限り、天安門事件が名誉回復しない限り、大陸を訪問しないと言ったことがある。双方がその条件作りに励んでいるかのように感じられる。
また馬英九が「理性と人本の精神」を強調したことは興味を引く。数年前、台湾世論は情緒化し、台湾独立運動者に扇動され理性を失っていた。それがここ二年間、とりわけ昨年連戦が大陸を訪問してから理性を取り戻し始めた。「理性」の強調、それは陳水扁に向けられたものであろう。
その陳水扁は南米訪問に当たって、ニューヨークでの立ち寄りをブッシュ政権によって拒否された。米国は歴史的に国民党との関係が深く、次の総統選挙では国民党の勝利を願っているとも推測される。とすれば、米中両国の思惑は一致しており、中米関係の最大障害だった両岸関係は、遠くない将来において解消される可能性がある。国民党政権の下で、台湾が米中関係促進の役割を果たすときがやってくるかもしれないのだ。
その時、日本はどのように対応するのであろうか。現在の対台湾・対中国姿勢を見ている限り、その準備ができているようには思えない。

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