君子豹変! 戦略的自主外交の展開

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安倍晋三首相は国会答弁で、今まで述べてきたこととの関係での「批判は甘んじて受ける」と言い切った。正に「君子は豹変す」とはこのようなことであろう。
 安倍首相は8日中国を訪問し、歴史認識問題について一応の決着をつけ、未来志向の共同文書を発表した。それは安倍首相の従来の主張とはかなり異なるものであった。内政、外交両面においてタカ派であると見られた安倍首相が、総裁・首相就任確定後、かくも大きな転換を図るとは、誰もが予想していなかったであろう。

安倍内閣は、内政においては「開かれた保守主義」を実行していこうが、こと外交に関しては、今回の訪中・訪韓によってタカ派的色合いは大いに薄まった。日本の全方位国際協調自主外交の展開が期待される。それは日本が「主導権をとる外交」「主張する外交」であり、次のような特徴を持つ。
 米国に対しては追随型から推進型に変わる。日米安保条約を基軸とすることには変わりないが、今までのように「米国が決定し、日本はそれに従う」ではなく、日本から積極的に発案し、米国の支持を得るという傾向が強くなっていく。安倍外交は実質的に、加藤紘一氏や小沢一郎氏の唱える日米中正三角形論と重なることとなった。
 中国に対しては、「戦略的互恵関係」を構築していく。これは従来の日中友好関係を冷戦終結後の新しい情勢に合わせた新しい枠組み作りを意味する。日本が戦略的関係及びウイン・ウインの関係を受け入れたことは重要な意義がある。友好協力から競合協力に進むのではと懸念されたが、互恵協力に進むこととなり、日中関係の雰囲気は一気に変わりつつある。
 9日、北朝鮮が核実験を行ったと宣言し、世界は大きなショックを受けた。朝鮮半島の非核化を一貫して主張してきた中国も、対北朝鮮政策の調整を迫られている。朝鮮半島の平和を維持しなければならないが、国際社会は北朝鮮の挑発にはっきりとNOを言わなければならない。共同文書には「日中韓協力」強化による北東アジアの安定と発展促進が謳われ、その枠組み作りに取り掛かる条件が整備されつつある。
 共同文書は「東アジア地域協力における協調強化」と「東アジアの一体化プロセス推進」を確認した。昨年12月の東アジアサミット会議では、日中間の角逐が際立ったが、今年はより協調的になっていくであろう。ASEANの主導的役割の下、日中両国に支えられた東アジア共同体造りは、徐々に軌道に乗っていく見通しが出てきた。
 共同文書はまた国連安保理改革について対話を強化することが謳われた。安倍訪中によって、歴史認識問題、台湾問題、日米安保条約の性格問題で相互理解が深まった。日中安全保障対話と防衛交流による相互信頼増進も謳われた。中国が日本の常任理事国入りに反対する理由は解消していこう。アジア唯一の先進国が常任理事国となることは、日本、中国、アジア諸国すべてにとってプラス要因だ。
 日本の外交は閉塞状態にあると言われていたが、安倍訪中と共同文書発表によって、日本外交の戦略的空間は大いに広まった。共同文書の具体化に向けて力を合わせることが、日中双方の関係者及び有識者の重要課題となった。
2006年10月12日

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このページは、凌星光が2006年10月12日 01:34に書いたブログ記事です。

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