本格的政治改革に取り組む胡錦濤体制

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 2002年秋、胡錦濤が総書記になると早速憲法重視の方針を打ち出し、「党の指導性確保、民主主義、憲法中心の法治」三結合の政治改革に取り組もうとした。しかし、それは既得権益集団の利害関係と衝突するものであり、一歩後退をせざるを得なかった。

胡錦濤一期目(2002-07年)は権力移行の過渡期で、大体三段階に分けることができる。第一段階は02年秋から04年秋までの二年間で、実質的権力はまだ掌握していなかった。第二段階は04年秋から06年3月までの1年半で、胡錦濤色を強め、徐々に指導力を強化していった。第三段階は06年4月から07年秋の第17回党大会までの1年半で、胡錦濤体制確立の段階である。今、過渡期最後の半年という重要な時期にあって、社会主義和諧社会論の構築と人事の制度化による刷新が図られている。
前総書記の提起した「三つの代表論」は不評を買ったが、胡錦濤は平和発展論、人本主義、科学的発展観、和諧社会論、和諧世界論など一連のコンセプトを提起し、マルクス主義及び社会主義理論を創造的に発展させることに努めている。その雛形はすでに見えており、秋の党大会で定式化される。その理論体系を一口でまとめて言うと、民主社会主義論の形成である。今後、民主社会主義経済、民主社会主義政治、民主社会主義文化の構築が目指されるであろう。
ここでは資本主義に社会主義的要素を取り入れていく過程を社会民主主義と呼び、伝統的社会主義(専制的社会主義)に市場原理と民主主義を取り入れていく過程を民主社会主義と呼ぶ。長期的には、両者は収斂していく。即ち、西側先進諸国と「中国的特色のある社会主義」との融合が進んでいくのである。
専制社会主義から民主社会主義に移行していくプロセスは漸進的なものであり、当面、胡錦濤の新路線を擁護するトップクラス人事をやらざるを得ない。しかし、長期的には「コネ人事」から脱皮し、制度に則った透明性ある民主的人事が行われなくてはならない。事実、ここ数年、人事制度が整備され、一般にはコネ人事がやりにくくなっている。二期目の胡錦濤体制は民主的政治改革を推進し、ポスト胡錦濤人事はより民主的に選ばれることが期待される。
今年3月に開かれた全人代は、秋に開かれる第17回党大会の環境整備と位置づけられ、民生問題が大きく取り上げられた。そこには、先ず大衆の支持を得ることによって、来年以降の政治改革を推進するための諸条件を整備しようとする意図が読み取れる。胡耀邦によって推進された政治改革は天安門事件によって挫折したが、最近、それを復活させるような動きが顕著となっている。注目すべき点としては、次のような点が挙げられる。
(1)胡錦濤は最近、「民主なくして近代化なし」の論断を下した。それを受けて、胡錦濤のブレーンの一人とされる兪可平・党中央編訳局副局長が「民主主義はすばらしいものだ」という新書を刊行した。それには「民主は人類史上、最善の政治制度だ」と書かれている。(2)温家宝は2月末に署名論文を人民日報に発表し、「科学、民主、法制、自由、人権は、人類が共に追求する価値観だ」と述べた。また全人代後の記者会見で同様なことを述べ、「社会主義は民主・法制と相容れないものではない」と言い切った。(3) 最近、鄧小平が引退後に語った政治改革関連の談話が巷に流されているが、それは政治改革推進の世論作りと見ることができる。(4)第17回党大会の政治報告の中に政治改革深化の内容を盛ることが検討されており、そのための特別チームが作られているとのことである。
以上のことから、中国は議会政治にはならないが、国際社会から評価され得る民主化の政治改革を行う可能性が出てきた。胡錦濤が民主社会主義を実現する土台を築くことができるかどか、大いに注目していきたいところである。   (2007年3月24日)

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このページは、凌星光が2007年3月24日 14:49に書いたブログ記事です。

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