8月29日から9月5日にかけて、「大陸と台湾に進出した新幹線技術視察訪中団」に参加して、日本の新幹線技術を取り入れた青島―済南間及び台北―高雄間の高速鉄道を試乗した。
当センター会長野沢太三を団長として中国大陸、香港、台湾を回ったわけだが、当センターとして、台湾に訪問団を派遣するのは初めてである。同時に、大陸を訪問し、そのまま香港経由で台湾に入るのも、多分、初めてであろう。そこには鉄道技術の交流を通して、両岸関係の改善を促そうという会長の思惑がある。
青島―済南間の乗り心地は極めてよかった。列車の安定性を測る最も簡単な方法は、タバコを立ててみて、それがいつ倒れるかを見ることだといわれる。そこでこの実験をやってみたところ、時速190キロまでスピードを上げたところで倒れた。車両がよくできているばかりでなく、在来線のレールメンテナンスもよくできていることを意味する。中国は鉄道技術を着実にレベルアップしていることが分かる。この線の利用乗客は多く、経営的にも極めて良好であるとのことだ。
台北―高雄間の高速鉄道はBOT方式で新会社「台湾高鉄」が建設を受け持った。既存の台湾鉄道会社は古いしらがみがあるため、それを避けるために全く新しい会社を作ったとのことだ。この高速鉄道の建設によって、サラリーマンが高雄から台北に通う傾向が出ており、高雄の不動産価格が上がり始めている。沿線および高雄の経済発展を促し、台北と高雄の経済格差縮小が期待される。今のところ、乗客は限られており、本数も目標の半分くらいである。数年後には乗客と本数が増え、黒字になるとのことであった。
日本の新幹線技術は、中国大陸と台湾で応用され、海外への発展に向けて重要な一歩を踏み出した。ベトナムも日本の技術を取り入れて、ハノイ――ホーチミン市間に新幹線を作ろうとしている。朝鮮半島の対立が解消されれば、日本とユーラシア大陸を結ぶ海底トンネルが作られる。日本の鉄道技術は21世紀において、ますますユーラシア大陸で活躍することとなろう。
日本は明治維新後、イギリス、アメリカ、ドイツなど欧米先進国から鉄道技術を取り入れ、日本独自の技術を開発していった。そして、新幹線に代表される日本の鉄道技術は今や世界のトップレベルにある。しかし、日本列島だけでは面積が狭く、しかも鉄道の普及率は早くから100%状態、今後の発展はかなり制約される。それに対し、中国の鉄道はまだこれからである。旧鉄道の改造ばかりでなく、新鉄道を敷く計画が目白押しである。日本の鉄道技術を維持・発展させるには、中国市場を念頭に入れざるを得ず、日中間の経済技術協力が不可欠である。そして、それは更にインド、インドシナ半島、中央アジアへと拡大していく。
今回の視察旅行は近いうちにまとめられる予定であるが、それが広く読まれ、日中鉄道協力の世論作りに貢献できれば幸いである。
2007年9月7日

コメントする