福田首相訪中コメント2

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日中関係戦略的改善の二段階段取り
今回の福田首相訪中と日中首脳会談は、双方の思惑が殆ど完璧に一致した連係プレイであったと見て取れる。それはマスコミや一般有識者の認識を超えるもので、福田首相の戦略的思考力と外交手腕を余すところなく発揮している。当面、「中国の成果大、日本の見返り最小限」などといった短絡的論調がマスコミで目を引くが、福田首相訪中への評価は、日を追って高まるであろう。

先ず、日中関係改善の段取りを二段階に分けたことは賢明であった。一般世論として、福田首相訪中の「見返り土産は何か」といった論調を目にするが、福田首相はそういう短絡的な国益ではなく、日中関係を根本的に改善するという高次元の国益を考えているようだ。それゆえ、訪中の目的は、当然のことながら、如何にして中国の対日世論を改善するかに主眼点をおく。
中国当局も最もそれを望んでいる。というのは、中国当局が理性的な対日政策を実行しようとしても、世論の反発があってなかなか行動に移せないという悩みがあるからだ。今回の首脳会談で、胡錦濤国家主席が来年春に訪日すること、またそれまでに東海ガス田問題を解決することが決まった。胡錦濤主席訪日の際には、中国対日世論の改善を踏まえて、日本の世論を十分に配慮したお土産を持ってこよう。それは、福田首相今回訪中の「お土産」に応え得るものとなろう。
福田首相は今回、理念と実利両面から大きな「お土産」を持参した。とりわけ、理念面での「お土産」は決定的に重要であった。一つは歴史認識問題で、謝罪などはしないで、心から滲み出る反省の弁を語り、中国の人たちの心を打った。「長い歴史の中で、不幸な時期があっても、しっかりと直視して、子孫に伝えていくことがわれわれの責務だ。戦後、わが国は一貫して平和国家としての道を歩み、国際社会に協力してきたことを誇りに思っているが、自らの過ちに対する反省と、被害者の気持ちを慮(おもんばか)る謙虚さを伴ったものでなくてはならない。過去をきちんと見据え、反省すべき点は反省する勇気と知恵があって、はじめて将来に誤り無きを期すことが可能になる。」福田首相のこの言葉は、日中間の歴史認識問題を政治問題化しない保証となりうるものだ。これにより、日本の誇るべき戦後歩んだ平和国家の道は、中国国民に素直に受け入れられるようになるであろう。
 もう一つは、台湾問題で、日本国内に潜むさまざまの抵抗を押し切って、台湾の国連加盟をめぐる住民投票を支持しないと表明したことである。「台湾の独立は支持していない」「対話の早期再開を強く希望する」「一方的な現状変更の試みは支持できない。台湾の住民投票をめぐって緊張が高まることは望んでいない。一方的な現状変更につながっていくのであれば支持できない。」福田首相のこのような言葉は、台湾独立派の最後の国際的「支え」を崩したことを意味し、台湾当局および民進党台湾独立勢力に衝撃が走ったと報道された。
陳水扁は総統選挙のために、中国政府が挑発に乗ることを期待して、台湾だけでの住民投票敢行を決定した。中国政府は事の重大さを深く認識しつつも、直接的な圧力を加えることは避け、国際的包囲網を形成する戦術をとった。米国、ロシア、フランスなどはすでにはっきりと反対の態度を表明した。主要国では日本だけが態度曖昧であった。今回の福田首相の態度表明で、包囲網は完全に形成され、中国当局の立場は強固なものとなった。
 日本では一部の右翼政治勢力は別としても、一般の人たちの中に台湾独立志向への同情心がある。しかも、台湾はかつて日本の植民地であったがゆえに、台湾住民の意向を無視するわけにはいかないという心情もある。そこで日本政府は不介入政策を原則としてきた。中国から見るとそれは台湾への野心がまだあると写る。また自衛隊OBや国会議員の大挙訪台がそれの確証と見るのである。
そもそも台湾住民の心情に配慮するのは「小理」で、日中関係とアジアの前途を考えた場合、かつての侵略戦争で大被害を与えた中国大陸13億人の心情を配慮することこそが「大理」なのである。どういうことか、日本は戦後の長い期間にわたって、「小理」のために「大理」を忘れるという状況が続いてきた。それは今も基本的に変わっていないが、福田首相は世界情勢の趨勢をはっきりととらえ、「小理」を捨て「大理」に就くことが、日本の真の国益であると政治的決断を下すに至った。正に英断である。
 日中関係の最大障害は歴史認識問題と台湾問題であった。福田首相はこの二つの障害を取り除いた。但し、これは「障害物」の清算であって、消極的な「お土産」というべきものだ。それだけでは不十分として、福田首相は積極的な実利面での「お土産」も用意した。中国が最も頭を痛めている環境対策面での協力である。共同記者会見で福田首相は「環境、省エネルギーの分野で、日本が今後三年間で1万人の中国の方々に対し研修を実施する」「省エネ環境保護協力コンサルタントセンターと日中環境情報センターを設置する」などを語った。これは中国国民によきインパクトを与えるであろう。
 来年を「日中関係飛躍の年」にしたい。福田首相のこの想いは中国当局も同じであり、両国首脳の連係プレイによって、その環境づくりは十分になされた。福田首相は今までの日本外交に稀な戦略的外交を展開したと高く評価できる。
              2007年12月29日
 

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このページは、凌星光が2007年12月29日 00:20に書いたブログ記事です。

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