台湾立法院選挙結果へのコメント4

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今後留意すべき中国及び周辺諸国の対応
                 福井県立大学名誉教授    凌星光
国際的に、とりわけ日本において、「国民党圧勝、民進党大敗」が大陸・台湾の統一を促進しないか、それがアジアにおけるバランスを崩さないか、中国が覇権国家志向を強めないか、などの懸念を抱く者がいる。そこで中国及び国際社会の有識者は、今回の選挙結果を如何にしてアジアの平和と繁栄にプラスになる方向に導くかを考えなければならない。

先ず中国については、引き続き台湾の内政には不干渉の態度を取るべきだ。今後、台湾の政局はまだ波乱含みである。民進党内部の抗争、ブルー陣営内部の権力争い、マスメディアの合戦など、決して安穏なものとはならないであろう。しかし、大陸側が引き続き理性的且つ冷静的に対応する限り、台湾の世論が再度、反大陸のヒステリー状態になることは考えにくい。ここ数年の経験をよく総括し、真に台湾の人たちの心を掴まなくてはならない。
次に、第17回大会で言明した約束を実行に移すことである。「一つの中国の原則を基礎として、両岸の敵対状態を正式に終結させ、和平協定を結び、両岸の平和・発展の枠組みを構築し、平和・発展の新たな局面を切り開く。」謝長廷も「和解と共生」の穏健路線を掲げており、陳水扁が民進党主席を辞めたあとは、民進党も対大陸対話姿勢を強めていこう。即ち、謝長廷と馬英九のどちらが勝つにしても、「平和協定」を結ぶ環境は整ってきているのである。但し、両岸の平和・発展の枠組み作りに当たっては、台湾の現状を十分に考慮しなくてはならないし、同時に、周辺諸国が安心できるような国際的配慮も必要だ。
第三に、「両岸の平和・発展の枠組み」は実質的連邦制に近いものし、台湾の国際的外交活動については、大陸当局との「協商・同意」を前提として独自の展開ができるようにするのが望ましい。この前提が保障されるのであれば、主権国家で構成される国際組織に台湾が参加しても差し支えないであろう。それは台湾の人たちにとって好ましいばかりでなく、中国大陸にとってもプラス要因となる。常任理事国としての中華人民共和国及び一般構成国としての中華民国の連係プレイが取れるからである。
第四に、イデオロギーの漸進的淡白化を図る必要がある。長期にわたる国民党・共産党間の対立及びここ20年間の大陸・台湾間の対立を解消するにはかなりの時間を必要とする。大陸と台湾の内部にあるさまざまの記念館はイデオロギー色が濃く、「両岸の平和と発展」に不利である。和諧社会論に基づいて調整を施していく必要がある。人物の評価についても、狭隘なイデオロギーから脱皮して、全民族としての基準、人類社会としての基準を設定して行うべきである。
 いずれにしても、中国当局としては伝統的思考方式から脱皮し、平和発展論と世界和諧論に基づいた新政策を大胆に取り入れるべきである。
他方、米国や日本など国際社会は、大陸・台湾間の枠組み作りを歓迎し、それを妨げるような行動は戒めるべきだ。全般的に言って、今回の選挙結果を国際社会が冷静に受け止め、歓迎していることは喜ばしいことだ。しかし気になる論調も垣間見える。
一つは選挙結果を波乱要因と見ることだ。1月13日付日本経済新聞社説は「台湾 総統選へ波乱呼ぶ国民党圧勝」と題し、「総統選に向け、中台関係は波乱要因を抱えたままだ」と書いている。実際には、前述したごとく、両岸関係は極めて安定した状況になったのであり、前向きに評価すべきである。
二つ目は、台湾民進党の奮起に期待をかける動きである。岡崎久彦氏は1月11日付産経新聞で「民進党政権で中台和平を」と題して「台湾のアイデンティティーに信念のある人が交渉しないと安心してみていられない」「民進党が交渉するならば、一つの中国の表現は妥協してもよい」と、恰も台湾が日本の属国であるかのような言い振りをしている。
三つ目は、国民党の分裂に期待をかける動きである。伊原吉之助氏は1月13日付産経新聞にコメントを寄せ「民進党は圧倒的多数の国民党とどう連携していくかが問われる」「今後、台湾は与野党を巻き込む政界再編に向かうのではないか」と、絶対多数を取った国民党の分裂を期待するような見解を示している。今のところこの可能性は小さく、伊原氏の民進党への思い入れが滲み出ているというほかはない。
世界の流れが変わり、米国の単独行動主義は放棄せざるをえなくなった。日本の流れも変わり、対中強硬姿勢は国民の支持が得られなくなった。台湾の流れも変わり、台湾独立勢力は衰退の道を辿っている。台湾独立志向を応援してきた日本の論客諸氏は、今たいへん悩ましい立場にあろうが、そこから脱却する道は、石原慎太郎都知事に倣って、180度
の大転換を図ることではなかろうか。
大転換するに当たっては、過去の自説を曲げる必要はない。ただ、客観情勢が変わったからだ、中国が変わったからだ、と言えばよい。
2008年1月16日

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