2008年4月アーカイブ

314日、チベットのラサで騒乱が起こり、暴徒による略奪と焼き討ちが行われ、チベット族と漢族に犠牲者が出た。それが更に周辺各省のチベット族居住地区に波及し、当然のことながら、当局は治安回復の措置を取った。ところが、西側先進諸国のマスメディアはダライラマ亡命政権側の情報を一方的に取り上げ、反北京オリンピックの一大キャンペーンが繰り広げられた。その影響を受けて、ギリシャから始まった聖火リレーは各地で妨害を受け、中国国民及び海外華僑華人の猛反発を受けることとなった。ここに来て、今回のチベット騒乱を冷静に見る雰囲気が欧米において醸し出されるようになった。ところが日本では依然として、公正な意見が出されない雰囲気にあるように思われる。

先ず、今回の騒乱が起こった原因を考えてみよう。直接的な原因は、ダライラマが昨年、欧州で「2008年は鍵となる年、北京オリンピックはチベットの最後のチャンス」と語ったこと、またチベット国民民主党のヤンドルン代表が今年3月に「オリンピックが近づき、国際社会が中国を注視する時期、チベット問題を訴えるよい機会だ」と語ったことから伺えるように、間違いなく、ダライラマ側が仕掛けたものである。

(福田首相への提案)

一 北京オリンピックとチベット問題について

 チベット騒乱問題が起きて、北京オリンピックの聖火リレーは困難に直面している。しかも懸念すべきは、中国国内のナショナリズム高揚と海外の対中国感情悪化の悪循環が生じつつあることである。とりわけ反フランスデモが起きたことは、北京オリンピックの土台まで揺るぎかねない。中国当局も事態を重く見て、今日(19日)の夜からは論調を少し変えつつある。近いうちに、中国当局は理性的な文書を発表し、事態の改善を図る可能性がでてきた。オリンピック前に、中国当局とダライラマが対話することは難しかろうが、一定の条件を満たせば対話に応ずるというかなり具体的な前向きの姿勢を示す可能性もあると見ている。また中国当局としては、胡錦濤の訪日を悪循環から好循環に転換させるターニングポイントにすることが望ましい。福田首相としては、中国のこの方向への転換努力を評価し、北京オリンピック成功のための国際的環境づくりに全面的に協力するという態度を示すことが望まれる。

昨年10月、中国では第17回党大会が開催され、共産党の新人事と政治活動報告によって、胡錦濤体制二期目の方向付けがなされた。今年3月の全人代で決まった政府の新しい首脳人事と温家宝の政府活動報告により、胡錦濤?温家宝体制の二期目が本格的に始動した。

胡錦濤、温家宝二氏は古い共産党体質の下で育った最後の最高指導者である。ポスト胡錦濤の指導部は基本的に改革開放政策下で育った世代から構成される。したがって、二期目の胡錦濤体制が中国の政治体制をどのような方向に導いていくのかが注目されている。即ちここ30年間、漸進的に進められてきた専制的社会主義から民主的社会主義への移行は決定的な成功を収めることが出来るか否かが問われているのである。それを基軸として、中国の経済、政治、外交などについて論じてみたい。

 

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